アイ・ラブ・ユーの先で

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緊張が解けたのか、はたまたその逆か、きょうは時間どおり、どころか予定より10分も早く起きられた。


ただし余裕があると思ってブローを丁寧にやりすぎるあたりがわたしのダメなところ。

髪は完璧につるつるになったけど、おかげで家を出るのは結局ぎりぎりになってしまった。



「佳月っ、オハヨ」


下駄箱でローファーから上履きに足を入れ替えたところで、うしろからポンと肩を叩かれる。


「あ、結桜。おはよう」

「あれ? きょう、髪の毛すごいキレイにしてるね」


まだ会ってほんの2日目で、こんなふうに自然と相手を褒められるもの?

たぶん、彼女は誰に対しても習慣的に、日常的に、なんの気なしにこういう接し方をしているのだと思う。そうすることがごく当たり前だという感じの言いようだった。


うまく受け取ることも、謙遜することもできないでいるわたしに、結桜は笑顔を浮かべたまま不思議そうに首をかしげた。

同時に、いくつかの小さな穴があいている耳の横で、どこまでも無重力に髪の束が揺れた。


そういう結桜だって、きのうのお団子とは少し違った髪型で、それもよく似合っている。


「結桜もサイドテールかわいいね。自分でやってるの?」

「うん、そうだよー。もともとえげつない剛毛でさ、なんとかしたいなと思って試行錯誤してるうちに、逆にヘアアレンジが趣味みたいになっちゃったんだよね」


それにしたってプロがやったのかと思うほどの完成度!

エアリーなウェーブも、ちょうどいい量の後れ毛も、眉より上で切りそろえられている前髪も、見事にぜんぶが彼女の見た目の良いところだけを引き立てる役目をしていて、素敵だ。