帰宅すると、玄関は今朝のことがまったく嘘のように、完璧に掃除されていた。
リビングに侑月の姿は見えず、お母さんに訊ねると、部屋で寝ているとのこと。
午前中、さすがに病院へ連れていき、帰ってきてからずっと眠りつづけているらしい。
内科の先生にみてもらって、施されたのは、点滴。処方されたのは、胃薬。
「……それさ、本当に効くのかな」
なるだけ無駄な重みをもたせずに言ったつもりだけど、早く核心を突いてしまいたい気持ちは多少あったと思う。
お母さんがわずかに怯んだような顔をしたのを、わたしは見逃さなかった。
できれば、そんなのは、見逃してしまいたかった。
「でも……侑月に限って、そんなね」
ああ、こないだ、お兄ちゃんも同じことを言っていたな。
侑月に限ってそんなこと、と。
わたしだってそう思いたい。
体をめちゃくちゃに壊してしまうほど、なにかしらの大きな負担が妹の心にのしかかっているかもしれないなんて、本当は考えたくもない。
でも、今朝のあの光景を目の当たりにしておきながら、そんなお気楽なことはとても言っていられない。



