アイ・ラブ・ユーの先で

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侑月の体調は回復するどころか、日に日に悪くなっていくばかりだった。

これは絶対に体調不良じゃない、なにかあるはずだ、と家族全員がうすうす感じるなか、末の妹は断固としてそれを認めずにいつづけている。

もう夏休みに入ろうとしているし、ひとまずそっとしておこうというのが、とりあえずの家族の総意。


そうしていよいよ終業式だという朝、ぬるく湿っているような空気感のリビングへ、お兄ちゃんが唐突に発破をかけた。


「なあ侑月、式くらいは出たら? 午前中だけだろ? こんなんじゃさ、夏休み明けますます学校行きづらくなるよ」


たぶんわたしの目に映っているそれ以上に、侑月にとってのお兄ちゃんは、この世の誰よりかっこよく、なにより頼もしい、スーパーマン。

そんな人からの言葉を真っ向から無下にすることもできないのか、わかった、とうなずいて、ほとんど通らない喉に無理やりヨーグルトのみを流しこむと、侑月はまだ少し大きめのセーラー服に着替えてきたのだった。


胃に収めたばかりのヨーグルトを、小さな口がすべて戻したのは、玄関の扉を外側へ押しこんだ瞬間のこと。


「え……、侑月?」


いったいいま目の前でなにが起こっているのか、咄嗟のことに、頭が判断を誤りかけている。