ゆっくり、けれど確実に、ふたりの指が一本ずつ絡まりゆくのを、わたしはただぼうっと眺めるしかできなかった。
「それとも、こういうことか?」
絶対にかなわない。
一生、負けのままだろうなと思う。
一生、なんて、またずうずうしいことを思っている自分を、恥じている余裕さえいまは残っていない。
先輩とつながっている右の手のひらだけが、自分とはまったく別の生き物になってしまった感じがする。
それなのに、じんわり汗ばんでいる事実が、はっきりわたしの右手であるということを証明している。
触れるとわかることもある、
なんていう都市伝説はあまり信じないリアリストだと、自分のことを評価していたけど、それはまったくの見当違いだった。
だって、不思議なくらい、流れこんでくる。
先輩は気まぐれじゃなく、同情でも、優しさでもなく、ちゃんと愛情をもって、いまわたしの隣にいてくれているということ。
頑張ってわがままを言ってよかった。
どれだけ滑稽でも、気持ちをぶつけてよかった。
この、身に余るほどの幸福を噛みしめて、しみじみ思わずにいられない。
「……本当に、先輩が人生最大の棚ぼたです」
「おまえさ、平気で人をぼたもち扱いしてんなよ」
やっぱりこの時間が永遠につづいてほしいと思った。
こんな安っぽい願いを叶えてくれる善良な神様がいるなら、いますぐ財布のなかのお金をぜんぶお賽銭にしたっていい。



