アイ・ラブ・ユーの先で



中学時代には一度も使ったことのない路線の、ガラガラの電車のシートに揺られながら、いつのまにか眠りこけていた。

最寄り駅の手前くらいでタイミングよく目覚める。まだ寝ぼけている頭のまま、シャキッとしたふりをして改札を抜けると、見慣れた景色のなかを歩いた。


信号待ちのあいだにスマホを取りだして、メッセージアプリを起動する。

個人的に連絡するのも面倒だったので、家族全員が参加しているトークルームを開いた。


【お兄ちゃんと侑月とお母さんって、お昼ごはんいる?】


とはいうものの、冷蔵庫のなかになにが残っているのかわからない。

スーパーに寄ろうか迷ったけど、なんとなくきょうはなにをしてもツイていない気がしたので、とりあえずいったん帰宅することにした。


制服からTシャツに着替えたあたりでスマホをもういちど開く。

送ったメッセージに対する返事の吹き出しはふたつ、いずれも、きょうだいからだ。


【俺はいらない。】

【侑月とママもランチして帰りまーす】


「あ、そう……」


ああ、よかった。はりきってスーパーに寄って、いろいろ買いこまなくて。

食器棚のいちばん下の引き出しにストックしてあるカップ麺のなかから、味噌ラーメンを選んで取りだすと、ひとり分だけの水をケトルに溜めて火にかけた。