駅前の繁華街付近のパーキングに黒の車体を駐車しなおし、てきとうにぷらつく。
なんのプランもないけど、その縛られなさが、なんだかいまはとても心地よかった。
「おまえ、なんか食いたいもんとかないの」
ウィンドウショッピングには飽き飽きした、という顔の先輩が退屈そうに言う。
たしかに、このままぶらぶらするだけというのも何なので、目についたワゴンを指さした。
「じゃあ、あそこのスムージー、飲みたいです」
「なんだその健康的なチョイスは」
そうは言いつつ、ちゃんと連れていってくれる。
なにがいいか訊ねられて、注文まで済ませてくれた先輩は、自分はいらないと言って頼まなかった。
「あ、いくらですか」
「いい」
そんなもんは鞄にしまっとけ、と。
いつかプリンを食べさせてもらったとき言われたのと同じふうに、リュックのなかへ折りたたみ財布を押しこまれた。
「でも、さすがに、そういうわけにも」
「だから、いつもずうずうしいくせに、こいうときだけ急にしおらしくなるのはなんなんだよ」
ずうずうしい、とはなんだ。
でも、だって、わたし、仁香さんに聞いてしまったんだ。
「だって、先輩、バイク――」
――バイクを買うために、バイトに明け暮れているわけじゃないんですよね?



