「うん、いいよ。こっちおいで」
「えっ、……いいの?」
ほんのり暗くも見えた顔が、途端にぱあっと明るくなる。
掛け布団を剥いで迎え入れると、ずいぶん大きくなったはずの妹が、3歳のころとまるで変わらない姿でベッドに潜りこんできた。
「お姉ちゃん、さっき、誰と電話してたの?」
「えっ」
「電話切ったあと、ずっとスマホ眺めてた」
「……そ、そうだったかなあ」
ああ、いったいどこから見られていたのだろう。
さすがに会話の内容の秘密は死守できているよね?
「もしかして、好きなひと?」
年上ばかりに囲まれて育ってきた侑月の勘の鋭さには、たまに辟易する。
上手に誤魔化せないわたしに、こういう話題が大好きな妹はグイグイ突っこんでくるだろうと身構えていたけど、意外とそうでもないのだった。
「……いいなあ、お姉ちゃん」
ただ切なげにそれだけ言うと、子どもみたいにしがみついてくる。
「なに? 侑月、好きな男の子でもできたの?」
ふるふる、胸に押しつけられている頭が、額を擦りつけながら横に動いた。
「元気ないね。どうしたの?」
「ううん……なんでもない」
べつに、侑月がわたしといっしょに寝たがるのは基本的に元気がないときで、いつも知らないうちに元気になっているし、今回も、そこまで深く考えなくて大丈夫かな。
「お姉ちゃん、大好き」
わたしも大好きだよ、と。
つぶやいて目を閉じたら、襲いくる眠気と安堵に勝てず、すぐ眠りについてしまった。
ああ、早く、あしたにならないかな。
早く、早く、放課後に。



