アイ・ラブ・ユーの先で



リュックと同じに新品のローファーを引っかけると、今朝は全力で走ってきた海沿いの一本道を、逆からなぞった。

往路と違ってせっかくのんびり歩けるというのに、いつのまにか空はどんより曇っていて、ぜんぜん良いロケーションじゃなくなっている。


「なにからなにまで、ついてないな」


言葉はまた、どこに伝わるでもないまま、海に溶けていく。
ため息をつきたくなったけど、それも結局は消えてなくなってしまうのかと思うと少し切なくて、とどまった。


新しい高校に友達がひとりもいないのは、電車に乗って約45分もかかる、少し遠くの街から来ているからだった。

そんな面倒な高校を選んだ理由はとても簡単だ。


第一志望の高校に、落ちたから。


高望みをしたわけじゃない。分相応の受験をしたはずだった。
学校の先生からも、塾の講師からも、友達からも、そして、自分自身からも、合格はお墨付きだった。

それでも、少しだけ、ほんの少しだけ、背伸びしてしまったことは否めない。


ずっと、お兄ちゃんの背中を見て、育ってきた。

当たり前のようにテストで満点を取ったり、ずっと続けている水泳の大会で優勝したり、お兄ちゃんは、なにをやらせてもずっと、いまでも、優秀な存在だ。


だから、そういうお兄ちゃんと血を分けた妹のわたしだって少しくらいはできるかも、と勘違いしまったのかもしれない。

少しだけ背伸びして、むずかしい高校に受かって、みんなから褒められたいという下心がまったくなかったとは言えない。


つまり、欲目が見事に仇となったわけだ。


本当にダサいなと思う。
わたしは、逆立ちしたってお兄ちゃんにはなれないのに。