アイ・ラブ・ユーの先で



「最近……水崎先輩とはあんまり、連絡とかとってないので」

「うん、知ってる」


佐久間先輩は笑ってサクッと答えると、この話題をここで終わらせるみたいに、屋台のほうへ歩みを寄せた。

手を引かれるのでなく、人ごみから守るように自然と肩を抱かれたので、本当に驚いた。


「佳月ちゃん、甘いもの好き? なんか買ってあげるよ。いっしょに食べよう」


すぐ近くにある恐ろしいほど整った顔を見上げながら、あの雨の夜のことを、なぜか思い出してしまった。

恥ずかしい涙をぜんぶ吸いこんでくれた胸に頬をあずけたことを、いまとなっては、もう夢のなかの出来事みたいに思う。


どうして、いきなり、こんなにもぱったり、会えなくなってしまったのだろう。


タイミングが合わない日々が続いているだけ?

ただ単に、忙しくしているだけ?

もしや、なにか事情があったり?


それとも――もしかして、わたし、避けられている?


そんな考えをふり払うように小さく頭を振った。

だって、仮に本当に避けられていたとして、その理由をこれ以上追及するというのは、とてもじゃないけどできそうにない。


まだ自分でもわからない、知らない、認めていない、認めたくない、心の、そういう部分。

それを、水崎先輩がいち早く察知していて、その対策として、拒絶されているのだとしたら。


そう思うだけで、いますぐにでも消えてしまいたくなる。