ただ黙って座っているだけなのに、どこか厳粛な雰囲気の入学式はとても緊張した。
教室に帰ってくるなり、近くの席のコと自己紹介をしあったり、連絡先を交換したりした。
担任は優しそうなオバチャン先生だった。
オメデトウと、穏やかに言うと、のんびり明日からのスケジュールを語り始める。当たり前だけど、初日から普通に授業が始まることに、げんなりする。
それでも、もう中学のころとは違うのだと思えば少し気が楽だった。
中学時代はふたつ上の学年に兄がいて、とても優秀だったので、なにかと比べられてばかりだったから。
そういう兄に生徒会長なんかをやられたときには本当に肩身が狭かった。
妹のほうはいったいどうしたんだと言われても、それは、誰よりもいちばんわたしが疑問に思っていることだよ。
解散を告げられて自由を得たとたん、クラスメートたちは思い思いの場所に掃けていった。
早くも意気投合した友人どうしでつるむコもいれば、ほかのクラスへ出ていくコもいる。
そうだ、結桜はどうしているだろうかと見渡すと、彼女は教室の後方にいる母親らしき人と、なにか話しながら笑いあっていた。体格や、目元が、とてもよく似ている。
ああ、そうか。入学式に親が不在なことのほうが、きっとめずらしいね。
ふう、と息をついてリュックを背負った。お兄ちゃんのお下がりでも、侑月との共有でもない。
わたしが気に入ったデザインのもの、それも、新品だ。



