「ほらよ」
「あ……」
いつのまにか目の前におなじみのバイクがあった。
いつもの調子でヘルメットを手渡される。
どうやらいまからいっしょにこれに乗って、学校付近のパーキングへむかうらしい。
初日の爆速が信じられないくらいのセーフティー・ドライブ。
でも、先輩の本来の運転はきっとこっちのほうなんだろうなって、何度も乗せてもらううちになんとなくわかってきた。
数分の運転を終え、定位置らしい場所に車体を停めたあと、おととい佐久間先輩からもらいそこねたのと同じ紙袋を手渡された。
「おまえになんも聞かないまま勝手に洗濯したけど、よかったか?」
「あ……むしろ、すみません、ありがとうございます。仁香さんたちにも、お礼……」
「ああそうだ、仁香が、もしよかったら遊ぼう、だとよ」
「え! 仁香さんが?」
あまり好いてもらえた感じはしなかったから、びっくり。
そんな社交辞令を、それもわざわざ水崎先輩を通して伝えるようなタイプには見えないので、その言葉は素直にうれしかった。
「仁香がおまえをここまで気に入るとは思わなかったけど、仲良くなったんならよかった。あいつ、ああいうズバッとした性格だからか、あんまり同性の友達いねえんだよ」
心から心配しているような、少し呆れているような、近しい、優しい表情をして、先輩は言った。



