「おまえ、人のことよく見てんのな」
「いまのは先輩のほうがわかりやすかったですよ」
「いや。なんとなく、同じ学校のやつがいたら面倒だなと思って」
「……それは、どういう意味ですか?」
わたしといっしょにいるところを目撃されて、なにかマズイことでもあるわけ。
おもいきりすねたい気持ちで口をとがらせると、先輩はふっと息をこぼして笑いながら、少し呆れた感じで声を出した。
「前にも言っただろうが。1年の女子が俺と仲良くしてると思われて、いいことのほうが少ないんだよ」
「だから、そのことはべつにどうもしないって、わたしも言ったじゃないですか」
「ああ、そうだった。ほんと、見かけによらないことばっかりだよな、おまえ」
「そうですかね」
「うん、かなり積極的なところとかな」
「はっ!?」
にやり、と。これからとびきりのいじわるを言ってきそうな顔が、こちらを見下ろしている。
すごく、嫌な予感がする。
「澄己に聞いたよ。俺に会いたくてしょうがなかったんだって?」
あのやろう。
相手は先輩だけど、心のなかだけにしておくので、この程度の暴言くらいは許されたい。
「でも、まあ、他人に頼んだのは俺が悪かった。いろいろ立てこんでて」
「……バイト、ですか?」
「まあ、そう」
「なんの――」
――なんのために、バイトしてるんですか?
だって、新車でバイクを買うためだというのは嘘だと、仁香さんから聞いてしまった。



