アイ・ラブ・ユーの先で



思わず口に出して聞いてしまった。とたん、受けとろうとした彼女の顔がぱあっと明るくなっていった。


「うん、そうそう、このブランド大好きなの! あなたも?」

「あ、うん、そうなの。だから思わず反応しちゃった」


シンプルなキスマークのロゴが目印のブランド。

ビビッドとパステルの色の使い方とか、カワイイとカッコイイがうまく共存したようなデザインとか、中学のころから大好きで、唯一持っているコンパクトミラーはずっと愛用している。


「えー、そうなんだ! かわいいよね。ウチ、ポーチとか、リップとか、ミラーとか、基本的に身の回りのものぜんぶラブミーでそろえてるよ」


そういえば、彼女のお団子に添えられているヘアゴムも、よく見ればキスマークのロゴが描かれている。


「あ、わたしもミラー持ってる。何年も前のデザインだけど」


何気なく言いながら、とてもうらやましく思っている気持ちを隠しきれていなかったらどうしようかと、おかしな不安を覚えた。

わたしは基本的になんでも兄のお下がりを使ってきたから。
女の子が使うものはほとんど妹と共用で、妹が好きなものばかりを選ばせてきたから。


こんなふうに列挙できるくらい自分の好きなブランドを持てるなんて、すごくいいなあ。

とても恥ずかしくて口にできない戯言。


「ねえ、名前教えてよ。友達になろうよ!」


無邪気にそう言った彼女は、人懐こい、屈託のない笑顔を惜しみなく見せてくれた。

きっとたくさんの愛情を注ぎこまれながら育ってきたのだろう。
そういうのって、不思議なほど、ひと目でわかるものだ。