仁香さんの部屋はすべてのものが真っ白で統一されていて、入った瞬間、天国にでも迷いこんだのかと本気で思った。
まばゆくて、穏やかで、儚い。まさにフランス人形が住んでいそうなお部屋。
「佳月、お布団でいーい? あたし自分のベッドじゃないと眠れなくて」
「そんな、じゅうぶんです! むしろ床で雑魚寝なんかでも」
「そんなことさせたらあたしが昂弥にコロされちゃうでしょ」
そういえば、水崎先輩と仁香さん、お互いに名前を呼び捨てにしあっているけど、どちらが年上なんだろう?
上下関係なく名前で呼びあうきょうだいが少なからずいることなら知っているけど、うちは下のほうが『お兄ちゃん・お姉ちゃん』呼びをしているので、こういうのを実際に聞いてみるとなんだか不思議な感じだ。
シーツに包まれながら、それとなく訊ねてみると、仁香さんは一瞬だけ絶句したあとで怪訝そうに眉をひそめた。
「昂弥からなんにも聞いてないの?」
「え……」
なんのことかわからなくて、思わず上半身を起き上がらせる。
仁香さんもベッドの上で同じようにそうした。
そして、少しだけ迷って、再びくちびるを動かしたのだった。
「昂弥とあたし、血のつながったキョウダイじゃない」
「……え?」
思考が完全にストップする。



