そんな事をぼんやりと考えた。


桜子とあたし、どっちが先に駿の事を好きになったのかなんてわからない。


だけど、桜子と駿は幼馴染だからきっとあたしよりもずっと前から桜子は駿に想いを寄せていたのだろう。


『あたしは、諦める必要なないと思うよ?』


紗英の言葉にあたしは視線を向けた。


紗英はアイスを食べきって、少し寒そうに毛布を握りしめていた。


『そうかな?』


もしあたしと駿が付き合うようになったら……そんな、夢のような出来事が起こったとしたら、みんなはきっとあたしを責めるんじゃないかな?


桜子の気持ちを踏みにじったと思うんじゃないかな?


『そうだよ。好きな気持ちはみんな同じなんだから、桜子のために自分の気持ちを抑え込むなんて、しなくていいと思う。決めるのは駿なんだから』


紗英の力強い言葉が、あたしの胸に入り込んでくる。


『そうだよね』


あたしはそう言い、ほほ笑んだのだった。