「分かってる。でも次はないからな。」

怖いなぁ。

なんだよ。頭硬いのどうの〜って言っただけじゃないか。

「まったく。そんなに気にしてるんだ。この老け顔。」

思わず、口に出してあっ......っと口に手を当てた時には時既に遅し。


次はないって数秒前に言われたのに...
その次が10秒後に来るってどういう事だよー。


やらかしたなぁ。と思った時には、唇に何かが触れていた。

「今回はこれだけで許してやるよ。
......お前を傷つけたくはないしな。」


そう言うと、意地悪そうにニヤリと笑った。



だが、私にはそんな返す余裕なんて無かった。


「ぬおわぁァァァァッッ!わ、わたしの...ファーストキスが。」


あ”ぁぁぁぁっっ!
ロマンチックの欠片もない!

ただ老け顔って言っただけなのに!
何でー!私それなりにファーストキスとか考えてたのに!なんで!


もっとこうあるでしょ!海辺でーとか!夜、高級レストランでーとか!!

なんで、老け顔でぇぇぇぇなんで!


呆気なく私のファーストキスは消えていった。