誰もいない放課後の教室。 オレンジ色の夕焼けがふたりを照らす。 きみは片手でネクタイを緩めて、ゆっくり私に近付いて。私の頬に手を添えて、長いまつげの瞳を伏せる。 私の唇に触れたそれは、私の存在を確かめるみたいに甘く深くなる。 きみの不機嫌なキスは、もう知らない。 私にくれるのは、いつも 優しくて、甘くて、まるで宝物に触れるみたいな 愛おしいきみのキスだけ。