「あ、着いた」 圭太の好きなバンド……じゃなくて、紘と一緒に聴いたバンド。 そのバンドの音楽をエンドレスで聴いていたらいつもの駅に着いて、慌てて電車を降りる。 朝は少し前を歩いていた紘だけど、今は隣を歩いてくれる。 それだけのことがなんだか嬉しくて、胸がふわふわした。 「……あれ」 改札を出て、これからどうしようか、と離していると。 駅前の広場のベンチに見覚えのある姿を見つけた気がして、もう一度視線を戻す。