今日は朝から雪が降っていた。

夜になる頃には積もるかもしれない。


教室から窓の外を眺めていたら、昨日、国崎くんから聞いたことが頭の中をぐるぐると何度も巡っていた。


三条さんが借りようとしていた画集は、今私の手元にある。


国崎くんに自分で渡すと伝えたからだった。


深く傷ついたような顔をした椎名くんと、それを間近で見てきた国崎くんのやるせない気持ちを思うと、あれ以上頼むことなんか出来なかったから。



「椎名くん……わたし、最終投票もバッチリしてきたからね?」


「わ、わたしもだよ。椎名くん、今年もわたし達のプリンスでいてね?」



椎名くんと図書室で会わなくなってから、一週間以上が過ぎていた。


クールな王子様は煩わしい日々にげんなりしている。