「あっれ〜?星南ちゃんじゃな〜い」


「…栞ちゃん」


クスクスと笑いながら近づいてくるこの子は、紅蝶の姫である杉山 栞(スギヤマ シオリ)。


普通は姫というものは総長の彼女がなるもの。


だけど栞ちゃんは慎也の彼女ではなく、副総長である浅倉 庵(アサクラ イオリ)の彼女。


金に近い茶髪の髪は緩く巻いており、キャミソールにミニスカというオシャレを意識されている。


腰まで伸ばされた黒色の髪に、Tシャツに短パン姿の私とは真逆。


だけど、この髪は紅蝶の幹部の印が示されている大切なもの。


私には左側だけに、紅色のメッシュがはいっている。


慎也にも、他の幹部にも、場所は違うけど、紅色のメッシュが入っている。


そして…。


そっと右耳に触れる。


慎也と一緒に買ったピアス。


私は右に、慎也は左に蝶のピアスをつけている。


これは恋人の証。


私は愛されている。


そう…、この間までは自信を持って言えていた。