本当に助けが来るのかどうか、その不安は屋上へ出た時に吹き飛んだ。
そこにはすでにヘリコプターが待機していて、その横にはテントが張られていたのだ。
あたしと健は手を握り合い、その光景を見つめる。
「やぁ、初めまして」
テントの中から1人の男性が出てきて、にこやかにほほ笑んだ。
その声はついさっき電話で聞いた物と同じだった。
開け放たれたテントの中には、電話とモニターが見える。
これで建物の中を監視していたのだ。
こんなにも近くに自分たちを見ている人間がいたなんて……。
だけど、なぜだか不思議と嫌な感じがしなかった。
その男性にも見覚えがある。
「マミちゃんの、お父さんですね?」
健がそう訊ねた。
「あぁ。その通りだよ」
男性は頷く。
記憶の中をたどると、確かにこの人の顔を思い出す事ができた。
「こんなことをしたのは……?」
「1つは妻の未練を晴らすため。見ただろう? あの映像を」
そう言われて、ニタリと笑ったまま死んでいったマミちゃんのお母さんを思い出した。
あたしはギュッと健の手を握りしめる。
「もう1つは……マミの事を思い出してほしかったからだ」
その言葉にハッとした。
あたしたちはマミちゃんの事をすっかり忘れてしまっていた。
それは娘を失った父親からすれば、悲しい事だったに違いない。
そこにはすでにヘリコプターが待機していて、その横にはテントが張られていたのだ。
あたしと健は手を握り合い、その光景を見つめる。
「やぁ、初めまして」
テントの中から1人の男性が出てきて、にこやかにほほ笑んだ。
その声はついさっき電話で聞いた物と同じだった。
開け放たれたテントの中には、電話とモニターが見える。
これで建物の中を監視していたのだ。
こんなにも近くに自分たちを見ている人間がいたなんて……。
だけど、なぜだか不思議と嫌な感じがしなかった。
その男性にも見覚えがある。
「マミちゃんの、お父さんですね?」
健がそう訊ねた。
「あぁ。その通りだよ」
男性は頷く。
記憶の中をたどると、確かにこの人の顔を思い出す事ができた。
「こんなことをしたのは……?」
「1つは妻の未練を晴らすため。見ただろう? あの映像を」
そう言われて、ニタリと笑ったまま死んでいったマミちゃんのお母さんを思い出した。
あたしはギュッと健の手を握りしめる。
「もう1つは……マミの事を思い出してほしかったからだ」
その言葉にハッとした。
あたしたちはマミちゃんの事をすっかり忘れてしまっていた。
それは娘を失った父親からすれば、悲しい事だったに違いない。