涙花が咲く頃に


いつもより早めに屋上についた私はいつものように塀におっかかっていた。




どっちがいいかと言われてもわからない答えを昨晩かんがえてたけどやっぱり答なんて出るはずもなく。




しばらくして校庭を覗くと、1人の男子がこちらに手を振っていた。



それがあの男だと分かると、私は無視して空を見上げた。



片手にはサッカーボールがあって。




しばらくすると彼の周りには人が集まった。





あの男は敵だ……そうとっさに思った。





部活が終わると女の子たちが彼に向かって歩いてくる。




「お疲れ様ー」


「ありがとう」とタオルを受け取ると笑顔を向けたのか女の子たちがきゃぁーと叫んでいた。




一瞬男がこちらを見たがすぐ逸らした。





私はなんていう人に秘密を知られてしまったのだろう……。





チャイムがなり、私は教室へ向かった。





「おはよう。今日も文化祭の準備だからなー!」





HRが終わり、教室を出ようと椅子から立とうとした瞬間、私の前には担任がいた。





「体調はもう平気なのか?」




「えっ?」





「昨日、学校に来たけど気持ちが悪くなって熱もあるからかえったんだろ?」



「は、はい……?そんなこと誰が……」


見覚えのないことに私は目を丸くする。


「6組の一ノ瀬がわざわざ昨日伝えに来たんだ。今回はいいけど、次からは保険の先生でもいいから一言伝えてから早退してな。」




そういい、担任は消えてった。





見覚えのないことに、ポカンとその場に立ち尽くす。




「ねーねー!大滝さんて一ノ瀬くんと仲いいの?」




すると、話したこともない子に突然話しかけられた。



「えっ?」




私は気付かれないように距離を作る。




「だって、さっき一ノ瀬って行ってなかった?」





「いや、知らないけどってか、誰?一ノ瀬って」




「えぇっっ?!!大滝さん一ノ瀬くん知らないのぉっ?」





大きな声を耳元でされてさらに一歩下がる。





「写真見せてあげるー」




そう言って私に向けられたスマホに写っていたのは……なんとあの男だった。




「この人名前は?」




「一ノ瀬陽向くん!学校1のイケメンで知らない人はいないくらいのイケメン!!部活はサッカー部なの!笑顔向けられたらもう悩みなんてすっ飛ぶレベルだよ!」




「はぁ……」


もう、私が聞かなくても彼女はしゃべる続ける。



「だけど、チャラいっていうか、遊び人っていう一面もあるけど」




「えっ?」





「来る者拒まず去るもの追わずっていうのかな。」




「女たらし?」




「そうとも言うのかな。でも、1回きりでも陽向くんを独り占めできるなら幸せだからいいんだけどね!」




そう言って、女の子はグループの中に消えてった。





なるほどね……。

簡単にまとめると……




あの男は一ノ瀬 陽向。




学校1のイケメンで遊び人。




知らない人はいないって、知らなかった私はどれだけ周りを見ていないのか。


体育館に向かう時6組の前を通ったら、廊下に女の子の群れがあり、そこの中心にいたのがあの男だった。




見た感じ、170はある身長に左右にピアスが一つずつ。




ブラウンの髪の毛をワックスで整えてある。





見た目を見れば確かにイケメンの分類に入る。




男を見てると彼と目が合ったけど私がぱっと思いっきり視線をそらした。




噂を聞いてますます一緒には住みたくなくなった。




もとからないけどさっ。




でも、あの男だったら、私の噂は簡単にばらされる。




それだけは確かだ。



その後の授業なんて全く頭に入ってこなかった。