飲みかけのグラスがあるっていうのに
葛木先輩は私をいつもみたいにギュウッと抱きしめた。
ううん、なんだかいつもと違う。
いつもはこう、好奇心に満ち溢れてるのに、
まるで、欲っされているような、
「もう目覚めなかったらどうしようかと」
「そんな、目覚めますよ、大丈夫ですよ」
「もうお酒飲んじゃだめです。禁止です。」
「、、、はい、もう飲みません」
本当に心配そうで、なんだか私が拍子抜けして葛木先輩の背中をぽんぽんと叩いた。
「葛木先輩、お水こぼれちゃう」
離れようとすれば、葛木先輩はスッと離れてわたしからグラスをとりあげると、
そのままぐいっと水を飲み干して、空になったグラスをベッドの下にころりと置いた。
一連の動きが一瞬で、ギョッとしていれば、
そんな時間も与えないくらいの間で葛木先輩は私を抱きしめた。しめつけるみたいに。


