「玉木先輩、ほんとにすごかったです、さすが玉木先輩です!」
夕食を終え、私は玉木先輩と庭に出て話していた。
備え付けのベンチに腰掛けて、空を見上げれば、満点の星空がそこにはあった。
玉木先輩とはこうしてゆっくり話すことが、玉木先輩が成南にいた頃から多かったような気がする。
「俺なんかまだまだだ、」
少しだけ優しい顔をして、玉木先輩は私に笑いかけた。
付き合い長くなきゃ、今のが笑いかけたなんてわからないくらいの変化。
玉木先輩の表情がわかるようになれたのは、ちょっとだけ優越感だった。
「今の成南だって、3年間見守り続けて来たものだから、大切ですけど、
やっぱり玉木先輩や、葛木先輩の偉大さを感じちゃいます」
信じてるけど、不安になる。
先輩達が、大きすぎた。
「お前がそんなんでどうする」
弱気な私に見かねたのか、玉木先輩の大きな手が、私の頭を撫でた。
「玉木せんぱい」
「いつだって成南を信じて支えて来たのは永松だろう。
それに俺は何度も救われた。
他の部員だってそうだった。
信じてくれる誰かの存在は、人を強くする」
玉木先輩はそう言って、今度は私の手に、自分の手を重ねた。
「今だって、近くにお前が居てくれたらと思うときがある。」
そう言った玉木先輩の目は、しっかりと私を見つめていた。
なんだか、どきりと跳ね上がる心臓に、動揺が隠せない。