「一体どういうつもりです」



葛木先輩は、私の目を見つめてから、
はっとして口元を腕で隠して私から離れた。

尻もちをつく先輩。



葛木先輩が、焦っている。



はじめてみる葛木先輩に、私まで動揺してしまって、
羞恥心すらもどこかへ飛んで行ってしまった。



「ご、ごめんなさ」


「謝るんですか!?」


「葛木せんぱ」


「どうしたんです、なんで」


「だって、だっていつも葛木先輩ばっかり余裕で、私からも仕返しというか、、、余裕が欲しかったんですもん」


「なっ、」



(なんだ、、、そんなこと、)




葛木先輩は、「君って子はほんとに、」と、ため息をついて、私を少し睨みつけた。



「本当に他に意味はないんですね?」


「え?」




先輩が何を聞いているのかわからなくて、間が空いてしまう。

すると、葛木先輩は肩の力を落として、いつものように笑った。




「君にはやられました。
そろそろ帰りましょうか」


「、、はい」


「そういえば、聞きたいことがもう一つあったんじゃ?」


「もういいです、十分です」


「??いつでも聞いてくださいね」


「はい」





(いつ報われるんだか)