「あの葛木がさ、イサ以外に人を気にいるとはな」
「気にいるってよりもうシンプルに愛だろ」
「言いますねえイサ先輩」
残された三人は、いなくなった彼の話しを、ニヤニヤと続けた。
「あっ、もしもし」
『どしたんです』
なんだか焦っているような葛木先輩の声に、私の心臓は破裂しそうだった。
「あ、あの、突然、すいません」
『いや、』
よくよく考えてみれば、葛木先輩に電話するの、初めてだ。
ど、どうすればいい。
なんで電話したんだっけ。
「い、いま、お忙しいですか?」
『マネージャー!今飲んでるんだけど、来なよー!!』
突然聞こえた聞きなれた声に、驚いた。
と同時に、
私ったら、変な時に電話してしまったんだ、と気付いて焦る。
『ちょっ、だめだめ!永松さん今どこにいますか!?すぐ行きます!』
「え、そんな!みんなでいらっしゃるのにすいません!大したことじゃなかったんで、大丈夫です!!お邪魔しました!!」
まくし立てて電話を切る。
喧騒とした電話の向こうの音が消えて、一気に、静まり返るあたり。
鳴り止まない心臓だけがうるさかった。