「ずっとこっちにはいるつもりなの?」
時定君がそう言うのは、私がもともと東京から越して来たからだ。
「うん、もうたぶんずっとこっちにいると思う」
「そっか。よかった」
「時定君は?」
「僕もこっちで進学するつもり」
じゃあみんな離れないね。
なんて。
大事なのは進学先だよ。
「私も何かしたいことがあったらな」
「好きなことに関係することとかは?」
「関係すること?」
「うん、例えば、そうだな、何が好き?」
「うーん、バスケでしょー、甘いものも好きだなあ」
「うんうん、じゃあ、バスケとか、たべること?に携わる事を見つけるとか。
大学って学卒が大事なんじゃなくて、社会に出るための期間だと思うん、だ」
時定君の目は見えないけれど、
しっかりした物言いに、私はなんだか見惚れてしまった。
相変わらず2メートル級の時定君を見上げるのは疲れるんだけど。


