「永松さん」
「あ、葛木先輩!」
「遅くなってごめんね」
私は部活が終わった時間と、葛木先輩も練習が終わって帰って来る時間が丁度重なって、
葛木先輩とは今でもこうして会えることが時々あった。
葛木先輩達が卒業するとき、あんなに大泣きしたのが今では恥ずかしいくらいだ。
卒業するとき、葛木先輩は、あまりにも私が泣くものだから、
家も近いし、すぐに会えますよ、泣かないでほら
と、慰めてくれた。
そして、こうして今では、葛木先輩から、
『今帰るところだけど、そっちはどうですか?』
と、連絡してくれる関係になった。
友達の由紀は、私達のことを恋人同士だと言うけれど、
そんなんじゃない。
葛木先輩は私にとって大切な存在だけれど、
葛木先輩にとって私は、お気に入りの抱き枕。
くらいだと思う。