雨が降っている。 『なぁ、彩。もう帰ろう? お母さんもお父さんも心配してるぞ。』 『やだ。二人とも心配なんかしてないもん』 これは小学校低学年の頃くらいだったか。 確か私はお母さんとお父さんと喧嘩して 一人で歩いていたところを遼真が来た。 土砂降りなのに関係なく、遼真は真剣に 探しに来てくれた。 でも私はお母さんもお父さんも仕事が 忙しくて私を探しに来てくれなかったのが 悲しくて。 『もういい。遼真は帰ってよ』 『帰らないよ』