詩月くんのため息と共に、小さく舌打ちが聞こえた。

「行事で弾きたい奴も、行事で弾いて遜色ない奴も、お前でなくても他に幾らもいるのに……。何でいつもお前なんだ!? 得だよな。お前なんか、親の七光りで目立ってるだけのくせに!!」

生徒会長が言い終わるが早いか、生徒会長の頬を詩月くんの平手が2発、鋭い音を響かせた。

生徒会長は打たれた両頬に手を当て、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をし、茫然と立ち尽くしている。

詩月くんは、尚も険しい顔を生徒会長に向け、掴みかかろうとし、安坂さんに取り押さえられた。

「……そんなくだらない嫉妬で、妙な噂を流されちゃ迷惑だ。それに親の七光りなんて言わせない!!」

安坂さんが周囲に促し、数人で詩月くんの動きを止める。

「離せよ!!」

「周桜、何でそうムキになる」

安坂さんをはじめ、数人で詩月くんを宥める。