一般的な〝構ってちゃん〟だって言いたいわけじゃない。湊さんは強烈にアピールしてくるわけでもないし、甘えてくるわけでもない。
むしろ、私の話を聞いて励ましてくれるんだから。
でも、話していると、表情だとか言葉のなかに、気にかけてほしいのかなって思うような部分が少し見えたような気がした。
だから言うと、湊さんは驚いた顔をして……それから、ははっと笑いを吐き出した。
「ごめん……そんなこと言われたの初めてだったから意外で。でも俺はたぶん、構ってちゃんじゃないよ」
まぁ、普通に考えて〝構ってちゃん〟なんて言われたらいい気分はしないかもしれない。男性なら特に。
だからちょっと失礼だったかな……と思い表情をチラッと盗み見ると楽しそうな笑顔が映る。
怒っているわけじゃなさそうだとホッと胸を撫で下ろしていると、笑顔のまま言われた。
「でも、気にかけてほしいっていうのは合ってる。もっとも、誰彼かまわずってわけじゃないけどね。紗希ちゃんが俺のこと気にしてくれてるのが嬉しくてつい」
「私が気にかけなくても、周りにいくらでもいるでしょ。湊さんを気にしてくれる人なんて」
「まぁ、いるけど」
さっきと同じように、すんなりと自分がモテることを認めた湊さんが「でも」と続ける。
「どんな言葉も態度も、基本嘘だと思ってるから。紗希ちゃんと一緒だよ。外見とか、俺が持ってるモノとか、そういうのに惹かれてるだけで俺自身に興味があるわけじゃない」
口元には笑みを浮かべたまま、目を伏せ言われ、思わず眉を潜めた。
だって、私と湊さんが同じだとは思えない。
「それは違うと思いますけど」
「なんで?」
「私はこんな性格だから、好きになってもらえる部分なんて、あってもせいぜい外見くらいって話ですけど、湊さんは違うでしょ」
出逢ってまだ数時間とはいえ、その間ずっとふたりで話していれば性格のよし悪しは多少はわかる。



