「三人と付き合いましたけど……想いに応えたいと思って付き合い出したのに、どうしても恋愛感情は持てませんでした。
私がそんなだったからか、三人とも、数ヶ月付き合ったころ別れたいって言ってきて」
「え、相手から?」と意外そうな声で言った湊さんを、苦笑いを浮かべながら見た。
「はい。三人とも〝見た目は好きだけど、中身が可愛くない〟っていう理由でした」
『可愛いだけじゃダメなんだなぁ。中身がともなわないと飽きるもんだって初めて知った』なんて言ったのは、一番最後に付き合った人だった。
棘のある言い方に眉を寄せながらも黙って別れを受け入れたことを思い出す。
結局、付き合ってみても、ちゃんと恋愛できていなかったってことなんだろう。
湊さんが「ひどい理由だな」と眉を寄せるから、小さく首を振った。
「事実ですし。自分でもわかってたから、ショックってほどでもなかったです。私だって押し切られて付き合ってただけですし。
ただ……嫌な思いをさせたり、したりするだけなら、恋愛とかはもういいやって、思いました」
色々言われたりもしたけれど、今も後悔として残っているのは、高校のときの彼とのことだけだ。
性格がキツいとか、可愛げがないって言われるのなんてなんでもない。
だけど……〝可愛くない〟って言われちゃうような性格まで好きだって言ってくれたのに、想いを返してあげられなかった彼のことだけは、忘れられない。
「傷つけるのも、傷つけられるのも嫌なのに……結局、ダメで。なにひとつ上手くできないんです」と、吐き出すように笑みをこぼした。
「私たぶん、人として大事なモノが欠けてるんです。そうじゃなきゃ……こんな……」
そうじゃなかったら、あんなに彼を傷つけることだってなかったかもしれない。
こんなに、世界が生きにくく感じることもなかったのかもしれない。
こんなに――。



