2階へ上がっていくと、廊下に飯田アキラの姿を見つけた。


こんな所にいたんだ……。


そう思いながら近づいていく。


2階には授業に使う移動教室があるから、そこで勉強していたのかもしれない。


そう思っていたけれど、周囲に飯田アキラ以外の人影はどこにも見えなかった。


「誰もいないな」


教室の中を確認しながら海はそう言った。


「飯田アキラは1人で何してるんだろ?」


そう呟いて近づいて言った時、飯田アキラが科学室へと入って行くのが見えた。


後を追いかけると、飯田アキラは薬品棚の前に立っている。


「1人で科学実験か?」


「まさか」


健の言葉を否定した時、飯田アキラは透明な瓶に入った粉を取り出した。


近づいて見て見ると、ラベルに《睡眠導入剤》と書かれているのがわかった。


そんなものが科学室に?


疑問を感じた瞬間、飯田アキラはその蓋を開けて粉を一気に飲み込んだのだ。


驚いて後ずさりをするあたし。


「ちょっと、なにしてんのあれ」


渚が慌てたようにそう言った。