リーラを初めて見たときは、その可憐な容姿、儚げな微笑、柔らかく通る声に、なんとも姫らしい姫が来たと思った。


城に来てしばらくは立場をわきまえ慎重に行動しているのを見て、王族らしい賢さを身につけた姫だと思った。



――それが仮面を外せば、まさかここまで剛胆な姫だとは。



「だからわたくしは政に首を突っ込む。わたくしにできることがあるかどうかは、あなたの話を聞いてわたくしが決めるわ。わたくしは首を突っ込んで引っ掻き回すから、あなたはわたくしを守りなさい。それがあなたの仕事よ」



 やりづらいのは、悪いけど我慢なさい。

そう言って、リーラは苦笑した。



「そして、わたくしのやり方がまずいと思ったなら、そのときはあなたが今日のように諌めなさい」



 言って、レグナムに手を差し出す。



「あなたとわたくしは、共に陛下と、陛下の目指す世を守る、言わば同志よ。――だから、あなたの背負っているものを、半分わたくしによこしなさい」



 不敵な笑みを浮かべる姫は、これまでの楚々とした姫とはまるで別人。


これまで、この姫がこれほど頼もしく見えたことはなかった。



「――姫殿下」



 レグナムはリーラの差し出した手を握った。



「あなたを信じます」



 ありがとう、と、リーラは笑った。