「あぁ、それ、俺も思いましたよ。リーラ様は 姫ぶっていないときのほうが可愛らしい」



 小突かれたことなど意にも介さず、カインは頷く。



「姫ぶるって何よ。わたくしはれっきとした姫よ?」


「まぁ、それはそうですけど」


 くすくすと笑って、メリーは言う。



「リーラ様のお立場上、礼儀正しく楚々として振舞うことは、王女として必要なこととわかっています。けれど、時折見せてくださるリーラ様の年相応の少女らしい一面が、わたしたちはとても好きなんですよ」



 美女というよりも男前に近いメリーに、さらりとそんなことを言われて、リーラは不覚にも赤面した。



「そうそう、そういう意外にすぐ顔を赤くするところとか」


「うるさいわね、カイン」



 カインが軽口を言う。


リーラがカインを睨め付けてメリーが小突く。


もうお決まりの流れになってしまっていた。