「けれど、陛下の言ったこともわかる気がいたします」



 隣に座るカインの肩を軽く小突いて、メリーはリーラに言った。



 三人は神殿の中に椅子を置いて、お茶会をしていた。


神殿を訪ねたリーラに、お茶でも飲みながら話しましょうかと言ったのはカインだ。


神殿で茶会など、良いのだろうかと思ったが、カインが言うには教義に反することでなければ神殿は何をしていてもいいらしい。


「神殿は、母神が我が子を見守る居間のような場所ですから」と、カインは言って、リーラはその例えに妙に納得してしまった。



 お茶の用意はメリーとクロエがしてくれた。


クロエも席に座るよう言ったが、それはできないと固辞されてしまった。


ウィオンでは神籍にある者と俗世の者は同じ階級制度の上にないことになる。


神籍の階級と王家含む俗世の階級はまったく別次元のこととして扱われ、両者の間に上下はない。


カインとメリーは神籍にある以上、名目上はリーラとは階級の隔たりがないことになるので、リーラと同じ席に着くことにさして抵抗はないのだろうが、クロエはそうはいかなかった。