「なら、あなたは王妃同然です。王妃なんですよ。あなたが王宮のどこにいようが誰に話しかけようが、あなたの自由で、非難の原因にはなっても、それがあなたの立場を脅かすほどのものにはなりえません」



 屁理屈、のような気もする。

けれど、カインの言うことも一理あった。


要は、空気だけなく事実に目を向けろ、ということだ。

小難しく考えすぎなくとも、ただ事実だけを拾い上げれば、物事はもうすこし単純になるはずだ、と。



「小細工なんかしなくても、もうすこし思い切ってもいいんですよ、殿下は。思い切りすぎて致命傷になることは、あなたならないでしょうし」



「思い切って、ね……。そうね。手始めにレグナムをとっ捕まえてみようかしら」



 朝は逃げられてしまったが、リーラがはっきりと「話せ」と言えば、彼も話さないわけにいかないはずだ。


おそらく夕方か、遅くとも明日の朝にはまた様子を見にくるはずだから、そのときにでも……。



「そうですね。思い切って陛下を捕まえてみるのも、面白そうですよ」



「面白そうって……。それはさすがに、迷惑に思われそうじゃないかしら。陛下が否と言わなければ、って、さっき言ったのはあなただわ。陛下に嫌われるようなことはしたくないのよ」