「今だって十分悪目立ちしてるわ。それよりも、わたくしは陛下をお助けしたいの。陛下が今何に困っているかわかれば、力になれることもあるかもしれないのに……」
半分は本心、もう半分は、そうすることで婚礼の儀を早めることができるかもしれないためだった。
だからこそ、ウィオンの現状の問題を聞き出すため、神官に味方を作りに来たのだ。
幸い、カインもメリーも、リーラにさして警戒した様子もない。陛下のためと押せば、話してくれるだろうか。――そう考えていた矢先。
「陛下にとって、あなた様はまだ、“シュタインの姫”なのでしょうね。――あなた様にとってもそうであるように」
思いもよらない言葉に、リーラは瞠目した。
カインは変わらずにこにこしていて、隣のメリーは戸惑ったように眉をひそめている。
「……どういう意味?」
「ウィオンの状況を聞くために、神殿まで出向いたのはなぜですか? 王宮の者に聞き回るのは目立つ、けれど政治と分断された神殿でなら、王宮の者の目に触れることもなく、相談という体で情報を聞き出せるから。違いますか?」



