「レグナム、いつもご苦労さま。今日もクロエとお話ししていたわ。でも、そうね、今日は天気がいいからお庭に出てみようかしら」
リーラが百点満点の答えを返しながらレグナムに席を勧めると、クロエがいそいそと茶の用意をしはじめる。
レグナムは相変わらず隙のない所作で椅子に腰掛け、リーラに微笑みかけた。
レグナムの動作を目の当たりにするたび、本当は目が見えるのではないかとリーラは問い質したくなる。
「それはいいでしょうね。シュタインの城の庭はどんな宝石より美しいと評判ですが、ウィオンの庭には大陸の国には絶対に負けないほどに種類の豊富な花々が咲いております。シュタインとはまた違った趣があることでしょう」
レグナムもまた、百点満点の返事をする。
武人として傑出した才をもつ彼は、宮廷人としても優秀だ。
「それで、レグナム」
クロエの淹れた茶を一口飲み、ゆっくりとカップを置くと、リーラは柔らかな微笑みを崩さずに言った。



