恋愛じかけの業務外取引





私山名マヤは、体もメンタルも丈夫だが、昔から皮膚だけは弱い。

化粧品はもちろん、せっけんやシャンプーでさえ合わないものが多く、すぐにかぶれてしまう。

ブツブツができたり、皮が剥けてしまったり、パリパリになったり。

あまり家事をやったことがなかったのも、食器用洗剤や風呂の洗剤などで、皮膚がかぶれてしまうからだ。

ゴム手袋を使って洗い物くらいはやることがあったけれど、年に数回程度だった。

特に化粧品は顕著に反応が出るので、高校を卒業するまで、私は化粧なんてほとんどしたことがなかった。

街のドラッグストアで、みんなが「どの商品がより美しくしてくれるか」と目をキラキラさせている中、私は「どれを使えば荒れずに済むか」ばかりを考え、血眼になって成分一覧を見ていた。

シャンプーもトリートメントも、ボディソープも化粧水も乳液も、自分をキレイにしてくれる魔法の液体ではなく、得体の知れない化学物質だった。

そんな私がオーガニック製品に出会ったのは、大学に入学した頃。

コスメ類に詳しい同期の女の子が、『ちょっとお高いけど、肌荒れが気になるなら使ってみて』と、とあるせっけんを紹介してくれたのがきっかけだった。

そのせっけんは『ブルーメ』というメーカーのもので、当時は地方のメーカーから通販でしか購入できない、知る人ぞ知るオーガニックのせっけんだ。