恋愛じかけの業務外取引


「で、今日はどこ行くの? 東京観光って言ってたけど、浅草を歩き回ってからスカイツリーにでものぼる? それともあえて東京タワー?」

照れくささから逃れるようにまくしたてると、堤さんは首を横に振った。

「そういうミーハーな場所には行かねーよ」

「あ、そう」

なんだ。てっきりそういう場所に行きたいのだと思ってた。

じゃあいったいどこへ行くつもりなの?

「今日はまずこの近くのインテリアショップに行って、昼飯食ったら美術館に行って、雑貨屋とかも見にいこうと思ってる」

「なんだか不思議なチョイスだね」

首を傾げた私を、堤さんがしかめっ面とも呆れ顔ともとれるような表情で見つめる。

私はますます頭の中が「?」になった。

「マヤの鈍さをナメてたわ」

「は? 私、鈍いだなんて言われたことないよ?」

「インテリアショップと美術館と雑貨屋に行くって言ってんだぞ。さすがにわかれよ」

「そんなこと言われても、わかんないもんはわかんない」

私がそうはねつけると、堤さんは苦り切った表情でしぶしぶ告げた。

「……ラブグリのディスプレイ案のために決まってんだろ」

「え?」

それってつまり、私のため?

そういえば昨日LINEで【ディスプレイ案通った?】って聞かれたっけ。

私が【またボツだった】って返したし煮詰まってるから、ヒントになりそうな場所に連れ出してくれるってこと?

この人、何度私を惚れさせれば気が済むの。