恋愛じかけの業務外取引


約30年間、一応女として生きてきた私の経験から、菜摘の意図は感じ取れる。

自分を振った彼と自分より彼と仲よくしている私を腹立たしく思い、会話を都合よく解釈した編集をして、彼が私を悪く言っていたことを告げ口することで私への鬱憤を晴らし、彼にも一矢報いようというわけだ。

もちろん、無邪気を装って。

菜摘はいい子だ。それは間違いない。

こういうところもあるというだけのこと。

女として有利に生きていくためには、見た目の美しさに加え、言葉巧みに人を誘導する力が必要だ。

おそらく「女子」という世界でずっと上位をキープしてきたであろう彼女は、このような技術に長けており、それが店長という仕事の武器にもなっている。

私は姉御として、彼女が君臨してきた世界とは少し外れたところで生きてきた。

言葉は巧みでない代わりに、やられたらやり返せる度胸と気の強さを持ち合わせている。

「あっはははは。菜摘ちゃん、それは遠回しに断られたんだよ」

私はあえて、彼女に彼の本意を突きつけた。

あなたは素直ないい子だから気づかなかったのね、という建前。

そんなことにも気づけないおバカさんなのね、という嫌味。

そして、実際はすべて理解した上で私と彼を貶めようとしていることへの牽制を込めて。

……まあ、私だって、お世辞にも性格がいいとは言えないということだ。