恋愛じかけの業務外取引


「おかわりしちゃっていいの?」

私の言葉に、堤さんは首を傾げる。

「え、ダメなの? まだ残ってたじゃん」

不満げに眉を寄せる彼。

ユリが描いた筋書き通りの反応を示すことに驚きつつ、私は決め手となるセリフを吐く。

「ダメじゃないんだけどね。このキーマカレー、牛乳とクリームでのばしてスープカレーパスタにしたり、リゾットにしたりできるんだよ」

そう。必殺技とは、このスープカレーパスタとリゾットのことである。

このカレーには続きがあるのだ。

今日のようにキーマカレーライスとして食べても美味しいが、簡単なアレンジをしてパスタやリゾットにするだけで、もっと美味しくなるのだという。

「パスタとリゾット……!」

おかわりを渋った時には不満を露にしていたのに、パァっと表情が明るくなった。

「今食べちゃうとその分がなくなってしまうんだけど……どうする?」

彼は食い気味に即答する。

「我慢します!」

ユリは『これでたいていの男の胃袋は掴める』と豪語していたが、大袈裟に盛って話しているだけだと高を括っていた。

しかしどうやらあながち嘘ではないらしい。

だって堤さんがこんなにもご機嫌だ。

おそるべし我が妹、山名ユリ。