恋愛じかけの業務外取引


洗濯カゴからはみ出した衣類。

読み終えて床に放置されているマンガ雑誌。

キッチンの調理台にはコンビニ弁当の空きケースとビールの空き缶。

期待なんてしてはいなかったが、当然洗浄などされていない。

流し台にはいつ食べたかもわからない食器がかろうじて内側だけ水に浸かっている。

どうやら冷凍しておいたカレーを温めて食したようだ。

マグカップもあるが、どうやら先日私が持ってきたキャラメルフレーバーのルイボスティーを、自分で淹れて飲んだらしい。

あの超絶面倒くさがり屋の堤さんが、自分でお湯を沸かしてティーバッグを振っているところを想像して、思わずププッと吹き出してしまった。

引き戸を開けて寝室の明かりを点ける。

より彼のにおいを強く感じるこの部屋には、脱ぎっぱなしの部屋着と炭酸飲料の空きペットボトルが数本放置されていた。

前回から1週間程度経ったけれど、やはり空いた分だけ散らかるらしい。

「まったく、手のかかるやつめ」

私は食材を冷蔵庫に入れ、メインリクエストであるパンツやその他の衣類の洗濯から開始した。

寝室を片付け、食器を洗い、流し台に放置されている資源ごみを洗って分別。

1号店がある商業ビルで購入したネイビーのエプロンを身に着け、ユリに送ってもらったレシピを見つつ、料理を始める。

今日は絶対に普通だなんて言わせない。

私はそれをモチベーションに、具材の下ごしらえを丁寧に行った。