やはり、いい顔はされないか。
我々のリクエストが無理のあるものだというのは理解している。
私だって上層部の思いつきによる無茶な指示には辟易しているし、そのためにこうして仕入れ先に迷惑をかけてしまうのも申し訳ないと思う。
だけど、そう決まったのだからやるしかない。
私の仕事はメーカーや商社の機嫌をうかがうことではなく、ラブグリの店舗に商品を準備することなのだ。
「優先的に確保をお願いできませんか。掛け率でなんとかなるなら上に相談しますから」
「現段階でお約束はできませんが、早急にできるだけの在庫は確保しておきます。メーカーには、今日さっそく交渉してみます。もしかしたら、また同行をお願いすることになるかもしれません」
「構いません。どうぞよろしくお願いします」
ある程度の方向性が決まり、今日の打ち合わせは終了。
我々はすっかり冷めてしまったキャラメルフレーバーのルイボスティーを飲みほし、席を立つ。
来社してくれた堤さんにお礼を言おうとしたところで、課長の社用携帯がけたたましく鳴り始めた。
「ちょっと失礼」
ディスプレイで発信元を確認した課長が、慌てて部屋を出る。
狭いミーティングルームには、私と堤さんのふたりだけに。
ふと顔を合わせると、次の瞬間、彼の笑顔が微かに変わる。
なんか、嫌な予感がする。
「マヤ」
やっぱり来た……!
「なんですか」
「今日の晩飯、カレー食いたい」



