恋愛じかけの業務外取引





堤さんが来社したのは、決して私に意地悪をして楽しむためではなく、打ち合わせのためだ。

私と課長は作成した資料をもとにフェアについて説明し、発注についての交渉を行う。

今回のフェアは、年末の大掃除商戦を狙ったもので、大掃除に役立ちそうなホームケア用品を複数セットにして、単品価格よりも割引販売するというものだ。

人気のある商品と人気はないがおすすめしたい商品を中心に、ひとつの商品につき数種類のセットを展開する予定になっている。

この手の商品は値下げされることがほとんどないため、広く周知することができれば大いに集客が期待できる。

我が社としては周知のためにたくさんの宣伝費を使うことになるが、ラブグリーンマーケットやオーガニック商品のよさを広く認知してもらえるきっかけとなるはずだ。

フェアの目玉商品として扱いたいのは、日本のオーガニックホームケア用品のメーカーである『オリエンタル・オン(略称:オリオン)』の人気商品『フローリングシート』。

この商品はウェットタイプのシートで、フローリングワイパーに取り付けて使用する。

汚れ落としはもちろん、木材に栄養を与える効果もあり、痛みやすいフローリングを長持ちさせることができる。

床だけではなく木製の家具の手入れにも使える、知る人ぞ知る優良商品だ。

そしてこの商品をラブグリに卸しているのが、イズミ商事なのである。

「なるほど、それでこれだけの発注をかけたいと」

「急なお願いで申し訳ありません。しかし、御社にとっても、オリオンにとってもメリットがあるはずです」

「たしかに、注文が増えれば我々の利益は増えます。だけどオリオンが製造できる数には限りがありますし、すでに他社によって押さえられている可能性もあります」