いつもの不毛な褒めちぎり合いも、彼の本性を知ってしまったばっかりに、イラっとする。
彼女のブリブリした話し方が直らないのは彼のせいなのでは。
必死に彼に媚びる松田に言ってやりたい。
この人、もう32歳のオッサンで、部屋は足の踏み場もないほど汚いし口も悪いよって。
どうしてあの部屋に住んでて、本人はこんなにキレイなんだろう。
あんなに散らかっていたのに、部屋はほんのりいいにおいがしていたし。
不思議だ。
「とても甘い香りがするけれど、今日はなんのお茶ですか?」
座っている彼が、立っている彼女を見上げて尋ねる。
彼の上目遣いは、ただでさえ甘い顔面の糖度をぐっと上げる。
彼女はこの顔が見たかったのだというように、さらに表情を輝かせた。
「キャラメルフレーバーのルイボスティーです。香りは甘いですがこのままだと味はルイボスティーのままなので、苦手でしたらお砂糖を入れて飲むと美味しいですよ」
女子力の高さを存分に見せつける彼女は、3つのカップに丁寧に茶を注ぎ、名残惜しそうに部屋を出て行った。
女の子らしい女の子ってスゴい。
私だってお茶くらいは淹れられるけど、キャラメルフレーバーのルイボスティーなんてアグレッシブなチョイスはできない。
無難に緑茶とかコーヒーを淹れて出すと思う。
気のある相手だったら特に。



