浴室で熱をぶつけ合ったあと、ベッドでもう一度穏やかに愛し合った。
ベッドでは風呂場での激しさが嘘のように落ち着いていて、ひとつになる喜びを味わうためだけに身体を重ねた。
そのあとは朝からの疲れもあって、眠気と甘い気だるさに包まれながらシーツの海に漂う。
時刻はあと数分で午前0時というところだ。
「マヤ、これからどうする? 泊まってく?」
うちの方へ向かう電車は、まだしばらく動いている。
自分でも帰れるし、堤さんは飲酒していないから、車で送ってもらうこともできる。
「どうしようかな」
私が悩む素振りを見せると、放さないとばかりに巻き付いている彼の腕に力がこもる。
「泊まってけよ」
「明日の着替えもないのに?」
軽く笑いを漏らしながら試すようにからかう。
すると彼は私の頬に手を添え、顔を彼の方に向けた。
そして至極まじめなトーンで告げる。
「ていうかもう、マヤの着替えとか、うちに置いとけばいいじゃん」
「それって……」
ーーヴーーー ヴーーー
フローリングの上で携帯のバイブ音が響きはじめた。
鳴っているのは隣の部屋だが、静かな空間によく反響してけたたましい。
音とリズムから察するに、私の社用携帯だ。



