彼の部屋に着いたのは午後10時半。
私たちは靴を脱ぐなり抱き合って、飢えをしのぐようにキスをした。
外から帰ってきたばかりでお互いの顔や手が冷たい。
しかしそれもまた効果的な刺激になる。
久しぶりに味わう彼の感触に、女としての機能がフル稼働している。
「マヤ、とりあえずシャワー浴びよう。部屋暖めとくから、先に入って」
私はとっくに火が着いているのに、彼にはシャワーだなんて言い出す余裕があるのが悔しい。
「先になんて嫌だよ。入るなら一緒に入る」
あと1時間半しかないのに、ここで離れるなんてもったいない。
今着いている火を消してしまったら、きっと虚しくなるだけだ。
「マヤは俺をサカらせる天才か」
「ざまあみろ」
「覚えてろよ。またボロボロに泣かせてやる」
苦しげに言って私のコートを剥がし、放る。
私も彼のマフラーを乱暴に外し、放った。
部屋はまだ暖まっていないのに、衣類がどんどん剥がされていく。
彼が触れているところだけが熱い。
半ば押し込まれる形で浴室へ。
少し熱めに設定したシャワーをふたりで浴びる。
湯は私たちの身体を清めるためではなく、待てずに触れ合いを始めた私たちの身体と、冷えた浴室を暖めるのに使われた。
この間の甘くて優しかった情事とは一変、互いに強引かつ荒々しい行為。
あらゆる音が浴室内に響いていたけれど、それらが外に漏れているかもしれないと気遣う余裕など、どちらにもなかった。



