10月にはいい方向に向かっていたのに、それがダメになってしまった原因は、ブルーメの社長による“鶴の一声”だったらしい。
具体的には、昨年オープンした直営店が思った以上にうまくいっているため、店舗を大幅に増やすと言い出したのだ。
「突然すぎて参りました」と苦笑いを浮かべた先方の気持ちは、私にも痛いほどわかる。
我々は「通販と3店舗の直営店のみでは認知度が上がらないというデメリットを、ラブグリが扱うことによってカバーする」という体で提案をしてきた。
しかし直営店を増やすことになったため、ラブグリの力は必要なくなってしまったというわけだ。
出店予定の地域はラブグリの店舗とかぶるので、むしろお互いが競合してしまう可能性すらある。
さらに、利益率の問題も彼らにとっては大きい。
直販なら7割の利益があるのに対し、うちで売れたところで3割にしかならない。
店舗の数はうちの方が多いといえど、面倒な仕事が増えるわりにリターンが少ない。
直営店を増やす先方にとって、ラブグリで販売するメリットはほぼなくなってしまったのだ。
「しかし、過去にはこんな事例があります」
堤さんが直営店との共存によって成功した例を挙げ、説得をはじめる。
私はそれに、ラブグリ側の事例をいくつも添えて加勢した。
話し合いは3時間にも及んだ。
私たちは、どうにかブルーメにとってメリットになる部分はないか必死に探した。
相手も我々の条件を飲む余地はないか、懸命に探してくれた。
しかし、どんなに探り合っても、双方の折り合いがつくことはなかった。



